わたしは今、ネコ3匹と暮らしている。
1匹は知り合いからお譲りしてもらい、
もう1匹は台風のなか瀕死でいたのを保護し、
今年の4月には前の飼い主さんに手放されそうになっていた仔猫を迎え入れた。
そんな感じで、もう5年ほどネコと一緒に暮らしているけれど、実は昔はネコが嫌いであった。
ネコよりイヌが好きだった。
ネコの、あのツンとした感じとか、でもごはんの時だけすり寄ってくる感じとか、イヌと違って躾ができず、従順じゃないところとか。ネコのどこが可愛いんだろうと、ずっと理解ができずにいた。
しかし5年前。
とあるきっかけがあり1匹のネコをわたしの一人暮らしのアパートに迎え入れてから、ネコの持つ魅力に気付き始めた。
昔からの印象通り、ネコはイヌと違って躾ができず、従順ではない。ヒトの言うことは基本的に聞かない。でも、それでもいいと思えるほどの可愛さがネコにはある。本当はネコの持つ魅力について、ひとつひとつ詳しく紹介していきたいが、多分それをやっているとこの記事の文字数が20,000文字とかになってしまうので、控えることにする。
とにかく、ネコもヒトも同じだ。可愛いは、正義なのだ。
しかも、ツンとしている、という印象は完全に崩れ去ってしまった。
ネコは、少なくともうちのネコ3匹は、イヌと同じくらいめちゃくちゃ甘えてくる。四六時中ベタベタしてくる。
これは多分、わたしが今まで家にいる時間が長くて、ネコ側が『近くにいるのが当たり前』ぐらいの感じに思っているのだろう。トイレに行くためにリビングを出た瞬間に、それまで寝ていたネコ達が追いかけてきて扉の向こうで『どこ行くんや!』と鳴き続ける。
ネコってこんな感じだっけ・・・?と思うし、正直『うるせーな!』と感じる時もあるが、ネコ側がこちらを愛してくれているのと同じようにわたしもネコ達を愛しているので、これからも一生一緒にいてくれや。
ということで、前置きが長くなってしまったが
先日は福島県の『猫啼(ねこなき)温泉』に訪れた。
福島県石川町でのお仕事の前日、前入りの宿はどのあたりに取ろうかとGoogle マップを眺めていたところ、偶然『猫啼温泉』の文字を見つけてしまった。
『猫』の字に敏感なわたし。
すぐにググって調べてみたところ、文字通り猫にゆかりのある温泉であることが分かったのだ。
ということですぐに宿の予約を取り、今回はキャンピングカーではなくハリアーを飛ばして石川町へと向かった。

猫啼温泉は、けっこうな山奥にあった。
実は、『猫啼温泉』の近くに『母畑温泉(ぼばた温泉)』という温泉地もあるのだが、母畑温泉には翌日、仕事の後に宿泊予定であったので、2日続けてこの石川町の温泉宿に泊まることになった。贅沢な出張だ。
この日、宿泊したのは『井筒屋』という宿だった。
予想より大きな建物だったので、思わずしばらく見上げてしまった。
玄関に足を踏み入れると、さっそくネコが描かれた玄関マットがお出迎えしてくれた。
ここで簡単に『猫啼温泉』の由来について記しておくと、
とのことだった。
まぁ、要するに、
猫が飼い主を慕って鳴き続けたから猫啼温泉なのだ。
人間はストーリーに弱い生き物だ。
これを聞いて、行きたいと思わないネコ好き、いやさ、動物好きが居るだろうか?もうこのストーリーだけで、猫啼温泉を訪れる理由としては充分ではないだろうか。
館内に入ると、さっそくネコがお出迎えをしてくれた。
これは個人的な考えだが、行ったことのないホテルや宿を訪れる時、誰しも少しは緊張するものだと思う。
フロントはどんな感じなんだろう、雰囲気はどうだろう、受付の人がめっちゃ塩対応だったらどうしよう・・・など、大きな期待と少しの不安が入り混じる。
しかし、そんな不安は、この入り口にあるネコの置き物が目に入ってきた瞬間に消え去った。これを見ただけで、もうこれだけで、わたしの心は和んだ。
この宿はガチでネコ推しの宿や。わたしはそう確信した。
お部屋は広かった。今回は1人利用で予約したものの、とても立派なお部屋に通していただき、わたしの心はぴょんぴょんした。
実はこの日の夕食はお部屋でいただけるスタイルとなっていたため、せっかくなので食べながらYouTubeでライブ配信をすることにした。
そのために、パソコンの他にライブ配信用の機材を多数持ち込んでいた。さっそくセッティングするか・・・と機材を広げた。
外付けのマイクとカメラをパソコンと繋ぎ、配信用のエンコーダを立ち上げ、諸々の設定を済ませ、パソコンを電源に繋ごうとしたところ、延長コードを忘れたことに気付く。
そうなのだ、ホテルや宿では、自分の使いたいところにコンセントがない場合も多く、普段であれば延長コードを持ち歩いているのだが、この日に限って忘れてしまった。
仕方ないので、ちょっとビビりながらフロントに電話をかけ、『延長コードって貸し出しありますかね・・・?』と聞いてみたところ、『ございます』とのことで、快くお部屋まで持ってきていただいた。
助かった〜。電源繋いで準備完了だな。
そう思い、いざ延長ケーブルとパソコンを繋ごうと充電ケーブルを取り出し・・・
ない。
パソコンの充電器がない。
MacBookの、あのやたら重くてデカい充電器がない。
思い返せば、いつも家の壁のコンセントに差しっぱにしているあの充電器を、引っこ抜いてキャリーケースに入れた覚えが、ない。
LIVE配信はパソコンに物凄い負荷がかかるので、消費電力もハンパない。パソコンを電源に繋がなければ、LIVE配信は出来ない。出来たとしても、かなり短い時間で終わってしまう・・・
わたしはセッティングした機材たちを見渡した。
せっかくここまで準備したのに・・・
せっかくここまで機材持ってきたのに・・・
パソコンの充電ケーブルひとつ忘れただけで、全てが無駄になってしまう。
考えろ。コンビニに売ってる?売ってない。電気屋・・・いや、今から探して行っても配信の時間までに間に合わない。
どうしよう・・・
わたしはおそるおそる受話器を取り、フロントに内線を繋いだ。
『あの、すみません、度々申し訳ないんですけど、あ、なければないで結構なんですけれど、MacBookの充電器って貸し出しあったりしますかね・・・』
言葉を発しつつも内心、いやMacBookの充電器てwww温泉宿にwwwあるわけねぇだろwwwという気持ちでいっぱいだった。
電話口からは、
『MacBook・・・?ですか・・・うーんと・・・』
と、戸惑った声が聞こえてきた。
やっぱないよな。今日のLIVE配信やめよう。と思った。
『ちょっと形が分からないんですが、お探ししてみますね』
マジか。探してくれるのか。申し訳ねぇ・・・と思いつつつ、少し待つことにした。
とはいえ、なんだかやる気を失ってしまったわたしは、LIVE配信は諦めようと考えていた。
5分後。
『形が分からないんですが、今ある種類の充電器を全てお持ちしました。この中で合うものがあれば良いんですが・・・』
そう言いながら差し出された仲居さんの手には、急いでかき集めてきたであろうさまざまな形状の充電器があった。
せっかく持ってきてもらったけれど、わたしは、パソコンの充電器など最早どうでも良くなった。
パソコンが使えなければスマホから配信すればいい。
少し画質は落ちるけど別にいい。
絶対にLIVE配信する。この宿から、LIVE配信する。
そう決めた。
夕食は最高だった。
食事を運んでくれる仲居さんは優しくて、運ばれてくるお料理は美味しいものばかりで、お酒も美味しくて、ビールから始まり熱燗でシメた。
用意した機材では出来なかったが、スマホからのLIVE配信もたくさんのリスナーさんが遊びにきてくれて盛り上がった。大成功だったと思う。
ここに来てよかったな。この宿と出会えて良かった。そう思った。
夕食の後は温泉に浸かった。病に侵されたネコが美しいネコへと変貌を遂げた温泉。これがなんとも不思議な湯で、そこまでお湯の温度は高くなくずっと入っていられるような気がするんだけれど、温泉を出てみると体の芯からあたたかく、部屋に戻ってもずっとそのあたたかさが続いていた。ハイボールを飲みながらうだうだしていたのだけれど、布団に入ってもぽかぽかしていて、すぐに眠ることができた。
美味しい朝食を食べ終え、チェックアウトをしてわたしは撮影現場へと向かった。
その日の撮影は、いつもより頭のキレも体の動きも良い気がした。
今回、わたしは本当に『猫』という名前につられてここにやってきただけであったが、井筒屋の美味しいごはんと最高の温泉、心のこもった気遣い、ホスピタリティーの高さ。館内にある、思い当たるすべての充電器を持ってきてこちらの無茶ぶりに対応しようとしてくれたこと。全てに感動したと言っても過言ではなかった。
定期的に訪れたいお気に入りの宿となった。
現在、全ての観光業において難しい、厳しい状況となっているが、
そのような中でも、今回の井筒屋のように、自分で利用して気に入った観光地や宿を紹介することにより、微力ながらPRの後押しをしたいなと感じた。
(今更だが、今回の井筒屋の宿泊は案件ではない。自分で選んで、自費で泊まった完全なプライベート宿泊である、もちろんLIVE配信やブログ記事での紹介料などもいただいていない。)
これからも、わたしが訪れて良かったな、と思ったスポットなどをブログ記事にしてみなさんに紹介していくので、気になった記事があったら読んでみてほしい。そして、機会があったら自分の足で訪れてみてほしい。
YouTubeも、このブログも、そのような『観光地とヒトをつなぐきっかけ』になれたら良いなと心から思った日であった。
MIHO氏
猫啼温泉 井筒屋の源泉は、日本でもめずらしい放射能泉であるアルカリ性単純弱放射能冷鉱泉。自然豊かで四季の移ろいを感じなが…